「腰痛症」4枚のカルテ

同じ日の外来に、腰痛の患者が4人。カルテには全員同じ「腰痛症」のスタンプ。これを全部同じ対応でいいのか――原理編でやった通り、主訴は入口。その先の証で分岐します。4人を順に見ていきましょう。

腰痛の証による分岐

① 78歳・下肢しびれ・冷え・夜間頻尿 → 牛車腎気丸

高齢、下肢のしびれ、冷え、夜間頻尿。これらが揃えば腎虚+水滞+寒。温めて補う 牛車腎気丸 が届きます。原理編第5回で扱った「束」そのものです。

② 55歳・夜間/天候で悪化・飲酒・固定痛 → 疎経活血湯

腰をこじらせてから痛い。夜と天候の悪いときに悪化する。飲酒があり、痛みの場所は固定。これは瘀血(+水滞)のサイン。疎経活血湯 です。

③ 72歳・だるさと冷え・しびれ/浮腫は目立たない → 八味地黄丸

①と比べるのがポイントです。①の患者はしびれと浮腫がはっきりありました。この患者は、腰下肢のだるさと冷えはあってもしびれ・浮腫が目立たない。同じ腎虚でも、ここが分かれ目です。

④ 45歳・冷えで悪化・温めて軽快・熱感なし → 桂枝加朮附湯

冷えると悪化し、温めると楽になる。熱感はない。これは寒湿。温める方向の 桂枝加朮附湯 です。

証が方剤を決める

同じ「腰痛症」でも、証が違えば4つの方剤に分かれました。病名だけでは処方が決まらず、その先の証が方剤を決める。これが実践の核心です。

いずれも、赤旗徴候の除外・画像・神経学的評価が大前提。附子を含む処方(牛車腎気丸・桂枝加朮附湯)は証(寒)に合わせ、用量を守ります。

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