「変形性膝関節症」を、証で4通りに分ける

今日も膝ばかり。カルテには「変形性膝関節症」が並びます。でも同じ鎮痛薬では、うまくいかない人がいる。原理編で学んだことを使って、まず「温めるか、冷ますか」から分けていきます。

膝・関節痛の証による分岐

① 冷えで悪化・温めて軽快・熱感なし → 桂枝加朮附湯(温める)

72歳女性。膝が痛み、寒くなると悪化、温めると楽。熱感も腫れもない。これは寒湿。温める方向の 桂枝加朮附湯 です。附子が入るので、不整脈の既往や過敏な人は慎重に、用量も厳守で。

② 急性・熱感・発赤・関節液貯留・体力あり → 越婢加朮湯(冷ます)

55歳男性。昨日から急に膝が痛い。触ると熱く、赤い。関節液も溜まっている。体力はある人。これは①とは真逆――湿熱。冷ます方向の 越婢加朮湯同じ膝の痛みでも、寒熱で方向が180度変わります。麻黄が入るので、動悸・血圧上昇・排尿障害のある人は注意。

③ 色白・水太り・多汗・膝の水腫と重だるさ → 防已黄耆湯

60歳女性。色白でふっくら、汗かき。膝に水が溜まって重だるい。これは気虚+水滞防已黄耆湯 が、黄耆で気を補いながら水をさばきます。膝の水は水滞として捉える――そこが使い分けの鍵。肥満傾向があれば、減量と併せて使うとより良い。

④ やせ・虚弱・高齢・慢性の痛みと変形 → 大防風湯

78歳男性。やせて虚弱。膝の痛みが長く、変形も進んでいる。これは気血両虚に寒湿が重なった形で、大防風湯。虚弱な体質そのものを補いながら、慢性の関節痛と変形に向き合います。

「温めるか、冷ますか」を最初に問う

膝の痛みという同じ入口から、証で4つの方剤に分かれました。最初に寒熱を問う――この一手が、方向の取り違えを防ぎます。

いずれも変形性膝関節症・関節リウマチ・化膿性/結晶性関節炎などの西洋医学的鑑別が前提です。4症例を解くなら 症例トレーニング へ。