「水」の訴えを、どう振り分けるか

むくみ、膝の水、打撲後の腫れ――「水」に関わる訴えは毎日見ています。今はまざって見えるこれらを、どう振り分ければいいのか。同じ「水」でも、証で3つに分かれます。

水をさばく ― 証による分岐

① 口渇があるのに尿量減・めまい・雨天悪化 → 五苓散

足がむくむが、よく聞くと「のどが渇くのに尿が少ない」「めまいがある」「雨の日にひどくなる」。これは水滞、とくに水毒のパターン。口渇があるのに尿量が減る――これが 五苓散 の中心になる所見です。めまいや雨天悪化も、水が上がっているサインとして整合します。

ただし、まずは西洋医学的に――心不全・腎機能低下・肝硬変・静脈性浮腫が原因でないことを除外してから。

② 色白・水太り・多汗・膝の水腫と重だるさ → 防已黄耆湯

膝に水が溜まって重だるい。体格は色白でふっくら、汗かき。典型的な黄耆体質の像で、気虚と水滞が合わさっています。防已黄耆湯 が、黄耆で補気して水をめぐらせます。肥満傾向があれば、減量と併せて。

鑑別として、変形性膝関節症の水腫はもちろん、関節リウマチ・化膿性関節炎・痛風/偽痛風などの結晶性関節炎を関節液の性質などで除外しておきます。

③ 打撲・外傷後の腫脹と内出血 → 治打撲一方

つま先をぶつけてから腫れ、内出血(青紫の変色)が出てきた。これは外傷後の瘀血で、治打撲一方 の適応です。

ただし、まず骨折や靱帯損傷などの重症損傷がないことをレントゲン、必要なら超音波やMRIで確認・除外するのが前提。整形外科として、ここは必ず。もう一点、治打撲一方には大黄が含まれ、軟便になりやすいので、もともと下痢傾向のある人には留意します。

同じ「水」でも、こんなに違う

口渇と尿量減なら五苓散、色白で水太りなら防已黄耆湯、打撲後の腫れと内出血なら治打撲一方。同じ「水」でも、証で全く違う方剤に分かれる。実践編を通じて繰り返してきた「証が方剤を決める」の総まとめです。

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