「ずっと出していいのか?」

こむら返りに芍薬甘草湯。速効で、頓用向き。証を問わず使える――そこが切り札たる理由です。けれど、毎晩つる患者に毎日飲ませ続けていいのか。ここから今日の本題です。

頓用と体質の二段構え

まず ― 西洋医学的な原因の評価

こむら返りの原因は漢方だけではありません。電解質異常(低カリウム・低マグネシウム・低カルシウム)や、薬剤性(利尿剤・スタチンなど)でも起こります。まずここを確認してから、漢方を考えます。

一段目 ― 頓用(対症)としての芍薬甘草湯

芍薬甘草湯は、急性の攣急に頓用・証を問わず・速効。これが切り札です。ただし甘草を含むので、連用には要注意――偽アルドステロン症(低カリウム・浮腫・血圧上昇)が連用で出現します。原則は頓用。毎日飲み続けるものではなく、甘草を含む他の処方を併用しているなら総量まで管理します。

二段目 ― 体質(証)で底上げする

頓用は対症。でも頻回に起きるなら、背景を見ます。頻回にこむら返りを起こす高齢者は、背景に腎虚があることが多い――冷えがある、夜間頻尿がある。第1回で見たパターンです。

腎虚を底上げすれば、こむら返りが起きにくくなります。牛車腎気丸八味地黄丸で体質を補う。使い分けは第1回の通り――しびれ・浮腫が明らかなら牛車腎気丸、だるさと冷えが中心で目立たなければ八味地黄丸。

頓用(対症)+ 体質(証)= 二段構え

芍薬甘草湯で攣急を止めるのが一段目、牛車腎気丸や八味地黄丸で腎虚を補うのが二段目。頓用は対症、証は背景。この二段構えが、「効くからずっと出す」の落とし穴を避けさせてくれます。

安全性の詳細は原理編第4回「安全性」で、証の底上げの考え方は 証エクスプローラ で確認できます。